メキシコ生まれ、アメリカ育ち、日本人の父とメキシコ人の母親を持つ杉浦徹(とおる)さん。カリフォルニア州サンディエゴの強豪高校在籍時は全国制覇を経験し、さらには2014年MLB全体ドラフト1位のBradly Aikenの女房役として活躍。卒業後は、アメリカではなく父親の母国、日本でプレーすることを決意。名門・法政大学へ入学した同校野球部1年生の杉浦さんに、日本とアメリカの野球の違いについてインタビューをしてきました。

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なぜ、日本でプレーすることを決めたのですか?

父親の勧めもありましたが、野球を通じて日本語を上達させたいという気持ちがありました。僕は英語とスペイン語が話せるので、これに日本語を加えたら将来の可能性も広がると思いましたし、メジャーリーグ球団で働くための武器になると考えています。また、日本野球のレベルの高さは知っていたので、自分のスキルアップの為にも、チャレンジしてみたいと思っていました。


初めての日本野球で戸惑いはありませんでしたか?

初めは言葉に苦労しましたが、監督やコーチ、チームメイトたちがとても親身に接してくれているので楽しくやらせてもらっています。


アメリカ野球と比べて「カルチャーショック」は感じましたか?

練習時間ですね。アメリカは1日中野球をすることが滅多にありませんが、日本は朝から晩まで活動することが良くあるので初めは驚きました(笑)。あとは「先輩後輩」の文化ですかね。アメリカでは先輩後輩関係なく、結果を残した選手が偉い、みたいな考えがありますが、日本は先輩を敬う「リスペクト」の精神があります。これは悪い事ではなく、僕自身はとても良い文化だと思っています。


年々、アメリカで野球を続けたい日本人選手が増えています。日本人がアメリカで成功するための「ポイント」を教えてください。

コニュニケーションだと思います。英語力以上に、面白いキャラをアピールであればきっと上手くいきます。川崎選手が良い例です。アメリカ人はよく話し、ジョークが好きなので、そこに溶け込んでいければパフォーマンスも上がるはずです。逆に無口でおとなしいと「何だこいつ?話したくないのか?」と思われ突き放されてしまいます。恥ずかしがらずなんでも話しかけてみることが友達作りのきっかけになります。多少おかしなことを言っても「変な奴」とは思われないので、積極的に話しかけてみてください。チームメイトなどと一緒にホームパーティーに参加するのもおススメです。すぐに仲間が増え、自分の居場所が作れると思います。

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技術面で、何かポイントがあったら教えてください。

打者はいかにスイングをシンプルにできるか、だと思います。日本の投手のストレートは凄く回転が綺麗ですが、アメリカは手元で動く「ムービングボール」が多いので、足を上げたり、テイクバックの動作を取るとそれがロスとなり良いスイングができません。きっとアメリカのコーチからはこの2点を指摘されると思います。投手は「メンタルの強さ」が重要だと思います。アメリカでは打者が睨みつけたり、ベンチから野次で威嚇したりと挑発してくるので、そういった事にも動じない強いメンタル力が求められます。日本の投手はコントロールがとても良いので、変化球のバリエーションを増やせばきっと通用すると思います。

杉浦さんの今後の目標を教えてください。

試合に出れるかどうかは、、、(周りに監督がいないことを確認して)監督次第ですが(笑)、少しでもチームの戦力になれるように野球と勉強を頑張って、リーグ戦で活躍したいです。

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杉浦選手、お忙しいところ貴重なお時間ありがとうございました! 法政大学野球部関係者の皆様、この場をお借りして深く御礼申し上げます。